寝かせるということは
とれたての魚は「うま味」が薄いため、
冷蔵庫で2.3日寝かした方が味が濃くなるといいます。
カレーも一晩経ったら美味しくなりますね。
腐る前の真っ黒になったバナナが好きな人もいます。
いずれにしても、時が経つと味が染みわたったり、
熟成させてうま味が増したりするということですね。
感覚的なもので申し訳ないのですが、
「技術の習得も同じなのではないか」と思います。
…といっても分かりにくいですよね。
寝かせることで化学変化が起き、
学んだことが、より早く深く身につく…
とでも言えばいいのでしょうか。
四六時中考えているより、寝かせてみると、
ふっとできるようになっていたりしませんか?
ただ、人間の場合は文字通り「寝かせる」というわけにはいきません。
日常生活のなかで動いたり、いろいろ考えます。
こう考えると、「寝かせ方」というのは、
教える側はなかなかコントロールできません。
教える側は「余計な味付け」をしないことが大事なのではないでしょうか。
すごい本に出会いました
本来トレーナーやコーチは、教えるのが仕事です。
ただ、いろいろ言いすぎてしまうと、
言われた方は「全てうまくやろう」と考えて、
わけが分からなくなります。
集中する状態をつくるには、
頭で考えずに、その瞬間にのめり込む。
こういった感覚は、うまく言葉にできなかったのですが、
この本を読んで、腑に落ちました。
「考えすぎないように」と言いながら、
考えさせてしまうような言葉を発していたとしたら…
それはただの自己満足トレーナーではないか。
僕は、そんな風に教えていないだろうか。
ミヤギさんの教え方
80年代に大ヒットした映画「ベストキッド」。
(ジャッキーの方ではありません)
念のため、簡単にあらすじを…
引っ越してきたダニエルは、
コブラ会の不良に目の敵にされ、
5人がかりでボコボコにされるところを、
アパートの管理人・ミヤギさんに助けられます。
ミヤギさんは空手の達人。
家の手伝いをしたら、ダニエルに空手を教えてくれることになりました。
ところが…
来る日も来る日もワックスがけ。
いつまで経ってもミヤギさんは、ダニエルに空手を教えてくれません。
次は床みがき。
それが終わったらペンキ塗り…
ついにダニエルさんはブチ切れて、
「いい加減にしてくれ!いつになったらカラテを教えてくれるんだ!」
もう帰ろうとした時に、ミヤギさんは
「待ちなさい!」と呼び止め、
ワックスかける→拭き取る を丁寧に反復させます。
次の瞬間、ミヤギさんが大声をあげて、襲いかかってきます。
ハッと思ったその時、毎日やったワックスがけの動きが出るんです。
床みがきもペンキも、攻撃をさばく動きにつながっていました。
そして、完全に防御できている自分に驚きます。
ミヤギさんは、教えていません。
でも、ちゃんと仕込んでいたんですね。
考えさせない。
→無意識にできるようになる。
このミヤギさんの教え方が、究極なのではないかと思います。
昨日、トレーニング中のお客様に
「江口さんは将来的にどういう風になるんですか?」
と聞かれました。
はい、僕はミヤギさんみたいになりたいです。